(編集長の独り言)ほろ苦い思い出のチャーハン

これまで法会労メールマガジンで配信した編集後記のうち,比較的評判が良かったものを「編集長の独り言」として整理・再掲載しています。


私が学生の頃,いっちょ前に失恋をしたことがあります。振られてしまったんですね。
人生にはこんなにも辛いことがあるのか…と嘆き悲しみしばらく部屋に閉じこもる日々が続きました。食事も取らず悶々と怠惰に過ごしていましたね。

そんな状況を見かねたのか,友人が我が家に訪ねてきました。
荒れ果てた部屋の中,座る場所もないところになんとか座って,私を見て言いました。死んだ魚の眼とはこういう眼のことを言うのかと。

私を励ますためだったのでしょう,しきりに話しかけてきますが,私は黙りがち。沈黙の時間が流れます。
そんな状況を打破するためか,友人は俄に「よし!俺が超絶美味いチャーハンを作ってやる!」と立ち上がりました。

別に食欲があるわけでもなく,チャーハンが食べたいわけでもありませんでしたが,美味いものを食べれば多少は元気になるだろうと考えたのでしょう,その友人の気持ちが嬉しかったですね。

友人が料理が得意なことは知りませんでしたが「チャーハンにかけては俺の右に出るものはいない」と豪語していました。

家庭用のガスコンロでは火力が出ないので,それを補うためにフライパンから煙が出るほど熱してから炒め始めるとか,火力は最大にしてフライパンを振るって鍋肌から滑り出るご飯をガスの炎であぶるアオリをすることでパラリとしながらも香り高いチャーハンになるとか,とにかくチャーハンは火とご飯を如何にコントロールするかが成否を分けるとかウンチクを語りながら友人が作ってくれたチャーハン。不味かった…。主には炒めすぎ,焦げ気味カッチカッチの固い米粒と人生のほろ苦さを友人とともに噛み締めたとさ。

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