3分DE1問解答集


(第1回)第1問

4が必要ないので正答です。1、2、3は必要。
建物収去土地明渡し訴訟では、建物も目的物件の対象に含まれはしますが、請求権は土地明渡請求権1個とされ、訴訟物の価格には建物は含まれませんので評価証明書は不要ということになります。
なお不動産の訴訟なので、まず1と2の登記事項証明書は不動産の存在を明らかにする為に必要です。
すると残りの選択肢は3と4なので土地か建物の評価証明に限られます。
そこでまず土地があって、そこに建物が建てられるという関係性を考えると、どちらかで言えば土地の評価証明の方が重要であると感覚的にも解答できると思います。


(第2回)第2問

1の『原則として住民票上の住所を記載』は明らかに適切でないので、これが正答です。
原則は当事者の居所を記載して、必要に応じて送達場所を記載します。
その居所に送達できなかった場合は、住民票の取り寄せや現場調査なりを行います。
2は適切です。離婚訴訟などの人事訴訟の場合には、訴状に当事者の本籍を記載するのが一般的です。本籍の記載は条文上要求されるものではないため、本籍が記載されていない訴状であっても厳密に言えば手続上問題ありません。
しかし、人事訴訟においては裁判の結果が戸籍に影響を及ぼすため、「当事者の表示」に本籍を記載しておく運用になっています。
3と4はそのまま適切です。
いかがでしたでしょうか。訴状のチェックをする際に当事者の表示と委任状の氏名・住所が一致しているか確認しますが、原告被告の住民票はチェックしませんもんね。その点に気が付ければ正答へたどり着ける問題だったと思います。


(第3回)第3問

1と2はそのまま〇。
3の確認の訴えは確認すること自体が目的なので仮執行宣言はそぐわないから〇。
4が×なので正答です。所有権移転登記を求める訴えは給付の訴えになります。

訴えの類型は3つあります。
【給付の訴え】
相手に対し作為又は不作為を求める訴え(ex.被告は原告に対し100万円支払え)
【確認の訴え】
権利や法律関係を裁判所に確認してもらう訴え(ex.労働者の地位確認や債務不存在確認)
【形成の訴え】
法律関係の変動を裁判所に宣言してもらう訴え(ex.原告と被告は離婚する)

給付の訴えは『相手方に』対して求めているのに対し、確認と形成の訴えは『裁判所に』対して確認や形成を求める訴えになっています。これは保全や執行にも関係してくるので、覚えておきたいポイントですね。
また、このポイントをおさえておくと、4の「被告に求める訴えは、形成の訴えになる」という文言に違和感があって、×だと判断できたと思います。


(第4回)第4問

1が×で正答です。これは『必ず』という文言に要注意、例えば離婚訴訟なら家裁が管轄になるので、必ず地裁になるわけではありません。
2と3はそのまま〇。
4は特許権や知的財産権等、専門的な知識がないと判断できない事件が専属管轄なので合意管轄は生じないから〇。

いかがでしたでしょうか。非財産権上の請求=ex.離婚訴訟=家裁と連想できれば難しくない問題でした。
ついでに非財産権上の請求=訴額160万円>140万円以下=簡裁という関係も紐づけておさえておくと良いと思います。


(第5回)第5問

1が×で正答です。未払賃料は明渡しの附帯請求なので訴額の算定に入れません。
2は非財産権利上の訴え(ex.離婚)、算定困難な場合の訴額は160万円とみなすので〇。
3はそのまま〇。利息・損害金は附帯請求です。
4は算定が『極めて』困難な場合なので財産権上の請求であっても訴額は160万円となるから〇。

附帯請求については、民事訴訟法9条2項で「果実、損害賠償、違約金又は費用の請求が訴訟の附帯の目的であるときは、その価額は、訴訟の目的の価額に算入しない」と定めています。
じつは果実って総称なのです。リンゴみたいな天然果実と利息・未払賃料のような法定果実に分けられるんですよっていう雑学でした。


(第6回)第6問

1は〇。書記官が窓口で渡す場合も送達です。
2が×なので正答です。相手が既に自らの送達場所を届け出ていたのに不送達になってしまった場合なので、改めての調査は必要ありません。
3と4は〇。公示送達と付郵便送達はチェックしておきたいですね。

いかがでしたでしょうか。1で書記官が相手のところまで出向いて送達なんてしないから×、という部分に引っかからなければ正答にたどり着ける問題だったと思います。


(第7回)第7問

1は〇。
2は控訴、上告がなされる場合があるので×。
3と4は〇。4は訴訟係属中(第1回期日後)なので、被告側にも訴訟の利益があるため原告の一方的な取り下げだけでは訴訟は終了しない。

いかがでしたでしょうか。これは2が明らかに誤りなのでイージーな問題だったと思います。判決とは違い、認諾・和解・取下げの同意はお互いに合意しているので上訴の余地はなく、訴訟は終了します。


(第8回)第8問

1、2、3は〇。3の附帯控訴とは、控訴された側が第1審の判決を自己のためにも有利に変更するように主張し、裁判所に判断を求める手続きです。
4が×なので正答です。控訴理由書の提出期間は控訴提起日から50日以内ですが、控訴期限と違い絶対的な期限ではないので、期限徒過で即却下されるわけではありません。ただし、上告理由書の場合は期限徒過で却下されるので要注意です。

なお、控訴期間の14日以内というのは判決を受取った『翌日から』起算して14日以内という意味になります。これは民法第140条で「日、週、月又は年によって期間を定めたときは、期間の初日は、算入しない。ただし、その期間が午前0時から始まるときは、この限りでない。」と定められているからなのですが、難しく考える必要はありません。
例えば午後2時に判決を受取って初日から起算したら控訴期限が13日と10時間になっちゃうじゃないですか。人によってバラバラになるし、そもそも14日ないからダメなのです。
だから翌日から起算して14日なのですね


(第9回)第9問

支払い督促とは、金銭、有価証券、その他の代替物の給付に係る請求について、債権者の申立てにより、その主張から請求に理由があると認められる場合に、支払督促を発する手続であり、債務者が支払督促を受け取ってから2週間以内に異議の申立てをしなければ、裁判所は、債権者の申立てにより、支払督促に仮執行宣言を付さなければならず、債権者はこれに基づいて強制執行の申立てをすることができます。
いかがでしたでしょうか。支払い督促と少額訴訟の概要は把握しておきたいところですね。


(第10回)第10問

1の労働審判は3回の期日で終結するのが原則なので正答です。
2、3、4は1回の期日で終結するのが原則なので×。

(裁判所HPより)
少額訴訟とは、民事訴訟のうち、60万円以下の金銭の支払を求める訴えについて、原則として1回の審理で紛争解決を図る手続です。即時解決を目指すため、証拠書類や証人は、審理の日にその場ですぐに調べることができるものに限られます。法廷では、基本的には、裁判官と共に丸いテーブル(ラウンドテーブル)に着席する形式で、審理が進められます。
いかがでしたでしょうか。前回の第9問で出てきた支払い督促と今回の少額訴訟の概要はチェックしておきたいところです。


(第11回)第11問

1、2、3は本案訴訟で獲得したい権利の実現を保全する手続きなので〇。
4が×なので正答です。証拠保全は名前に保全と付いていますが権利の実現を保全する手続きではなく、例えば医療事故や労働事件の裁判などで使う証拠を確保、保全する手続きです。
証拠保全をすると、裁判官や弁護士が企業や医療機関などにおもむき、証拠となる書類のコピーを取ってくれます。早期に証拠保全をすることで、隠滅される前に証拠を押さえられ、交渉で有利になる可能性もあります。
いかがでしたでしょうか。今回から保全や執行に関する問題が続くので難しくなってきましたね。


(第12回)第12問

1は登記官の職権という部分が×。正しくは裁判所書記官の職権。
2は登記手続き自体が出来なくなるわけではないので×。ただし、1のように後日抹消される場合がある。
3は、このために仮差押登記を行っているので○。正答。
4は、仮差押登記後に第三者に所有権移転登記がなされていても仮差押登記が先順位で優先されるために、承継執行文なしで強制競売申立てができるので×。
いかがでしたでしょうか。これ難しいですよね。出題の趣旨は不動産仮差押決定の効力、「当事者恒定効」を理解できているか否か、なのですが正直スルーで良いと思います。


(第13回)第13問

1、3、4は〇。
2の担保の提供は裁判所ではなく法務局なので×。

いかがでしたでしょうか。1、3、4に馴染みがなくても、法務局へ担保を提供してから、わざわざ裁判所へ行くという手続きを経験した方なら解答できたと思います。


(第14回)第14問

1、2、3は〇。仮差押解放金とは、仮差押えの執行の停止を得るため、又は既にした仮差押えの執行の取消しを得るために、債務者が供託すべき金銭の額のことをいいます(民事保全法22条)。
4は×なので正答です。自動的に裁判所が取消しをするのではなく保全執行取消決定の申立をする必要があります。ただし実務的には、通常原告(債権者)側が担保取消のためには保全命令申立ての取り下げをする必要があるので、被告(債務者)側が保全執行取消申立てを行う必要はないケースが多いと思います。


(第15回)第15問

1は×。既に債権仮差押がされており簡易な取戻し手続きは出来ません。簡易取戻しの手続きとは登記(登録)又は第三債務者に対する保全命令の送達ができなくて、その他保全命令により債務者に損害が生じないことが明らかである場合に出来る手続きです。
2が〇で正答です。権利行使催告とは本案訴訟を提起していない場合や訴訟が終了している場合にできる手続きになります。
3は×。債務者の同意があれば可能です。
4は×。担保提供事由の消滅ではなく権利行使催告です。担保提供事由の消滅とは担保供与の必要性が消滅したこと、被担保債権が発生しないこと又はその可能性がなくなったことを言います。


(第16回)第23問

1、2、3はそのまま〇です。
4が×で正答です。届出をしないと離婚が成立しないという部分が誤っています。
形成の訴えである裁判による離婚は裁判確定日に離婚が成立します。ただし、氏の選択もありますので届け出義務自体は10日以内です。


(第17回)第24問

1が×で正答です。当然ですが職務上請求は職務上必要だから請求可能なのです。
2、3、4はそのまま〇。
いかがでしたでしょうか。これは簡単な問題だったかと思います。